待ち合わせ場所に現れたのは…
そうこうしている間に、夜の8時に。どうやら彼のほうが先に到着していたようで、約束の時刻に5分遅れて着いた私が「改札前に向かいます!」と慌てて連絡。すると、彼からは「わかった、改札前で待ってるね。今日はモッズコートを着てるよ」との返信が。
改札を出ると、カーキ色のモッズコートを着た男性がすぐ視界に入った。目を合わせた私たちは(あ、この人か)とお互いに認識して、「こんばんは」と、まずはあいさつ。彼は緊張と照れくささからか、すぐに私から目を逸らしてしまった。
彼の第一印象は、『やさしくておとなしそう』というもの。マッチンアプリやLINEに登録している彼の写真は顔がハッキリとわからないもので、ようやく彼の顔を拝めた私。よくよく見てみると、彼はORANGE RANGEのYAMATOさんにそっくりだった。
彼ともつ鍋屋さんへ
もつ鍋屋さんに着いた私たちは、この店の一番人気・しょうゆ味のもつ鍋を注文。ほかにもおつまみをいくつかと、お互いにお酒もオーダーした。このとき、彼は「好きなものを頼んでいいよ」と言ったきりで、「俺はこれが食べたい」のひと言もなく、自分の飲み物以外のチョイスは、なぜかすべて私に任せた。
(好きなものをなんでも頼んでいいよって言ってくれるのはやさしいけど、自分の食べたいものをひとつも主張しないなんて……けっこう、周りの人に合わせるタイプなのかな?)
と感じてしまった。
その後、乾杯をした私たちは改めて沖縄のことや、音楽や映画、アートについての会話に花を咲かせた。彼は言葉の端に少しだけ沖縄の訛りを滲ませながら、ゆっくりしたスピードで喋ってくれる。
「夏に沖縄本島でやってる、エイサー祭りって見に行った?」
「いや、見に行ったことはないなぁ」
「1度は見てほしい〜。特に、最終日はかなり盛り上がるし、おすすめだよ」
「そうなんだ! いつか見てみたいなぁ」
それに、お互いの仕事の話や、いつから恋人がいないのか、どうして前の恋人とは別れたのかなど、プライベートな話もした。特に印象に残ったのが、詳しくは書けないけれど、彼の仕事に対する熱意が表れたシーン。管理職のような立場に就いている理学療法士の彼は、同じ施設に勤める同僚たちの仕事ぶりや、今後の仕事の展望について、熱く語ってくれた。
(男女関係なく、仕事を一生懸命に頑張っている人っていいよなぁ)
夜の10時半ごろになって、そろそろ帰る雰囲気になり、「お手洗いに行ってくるね」と席を立った私。席に戻ってくると、すでに帰り支度を済ませた彼が「じゃあ帰ろうか」と言って、壁にかけていた私のコートを手渡してくれた。「あ、じゃあお会計しようか」と私が言うと、彼が「もう済ませたよ」とひと言。(ええ〜!? 初めて会った人に奢ってもらうの申し訳ないな……)と思いつつも、「ありがとう。次は私が払うね」と素直にお礼を言って、今日は彼のおごりに。
そして、この日は解散となった。



